SSまとめ速報ちゃんねる

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面白いSSを毎日更新します!

女勇者「魔王だけど勇者になってみた」

1: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 21:23:37.07 id:myV30AKA0
勇者「まずは、仲間を集めよう」

<酒場>

 ワイワイガヤガヤ

勇者「マスター!」

マスター「ん? なんだい、お嬢ちゃん」

勇者「仲間を集めたいんだけど……」

マスター「ははっ、冒険者か」

勇者「……と、いうか勇者」

マスター「なんと! ほぉう、こんな小さな子がねぇ。ま、いいさ、好きな職業の仲間を選ぶといい」
 
2: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 21:36:24.40 id:myV30AKA0
勇者(人間の経済はわからないから商人は必要だよね。あとは私は剣と攻撃魔法は使えるから……)

勇者「商人と武闘家と僧侶で!」

マスター「了解。少し待っていてくれ……」

 数分後……

マスター「ほれ、連れてきたぞ」

商人「商人よ、よろしく」

勇者「うん、よろしく(姉御肌な感じだなぁ……)」

武闘家「武闘家っす! よろしくっす!」

勇者「うん、よろしくね(こっちは幼い感じ)」

僧侶「僧侶です。よろしくお願いします!」

勇者「よろしく(緊張してるのかな……)」
 
3: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 21:43:57.96 id:myV30AKA0
勇者「ええと、私は勇者だよ」

商人「……意外、勇者さまって男の人だと思ってた」

武闘家「あたしもっす!」

僧侶「ぼ、ぼくも……」

勇者「え、ええとまぁ、色々あるよね」

商人「あ、違うのよ勇者さま。女であることが悪いってことじゃないの。ちょっと驚いただけで」

勇者「うん、わかってる」

4: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 21:54:08.17 id:myV30AKA0
勇者「ま、とにかく出発しようか」

一同「「「は~い」」」

マスター「気をつけてな~」

<はじまりの町>

勇者「さて、勇者というからには、今から魔王城に向かうわけですが……」

商人「まぁ、そうね。でもその前に準備は色々しといた方がいいと思うわ」

武闘家「装備整えたりとかっすね!」

僧侶「あとは回復アイテム買ったりとかですね」

勇者「君たち、なにか勘違いしてない?」

武闘家「え? なにがっすか?」

5: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 21:58:09.99 id:myV30AKA0
勇者「もしかして、勇者が王様からお金もらってるとでも思ってんの?」

商人「え? もらってないの?」

勇者「いや、そもそも勇者に王様へ謁見できる義務も権利もないから(勇者がそう言ってたんだよね)」

僧侶「と、ということはつまり……」

勇者「うん。すかんぴん。というわけで、装備は整えず、そのまま次の町に向かおうと思います」

商人「ま、仕方ないわね。元手がないんじゃ商売も出来やしないわ」

6: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 22:03:12.12 id:myV30AKA0
商人「とりあえず、ここから東に行ったとこにある町が一番近いわ」

勇者「よし、じゃあひとまずはそこを目指そう!」

武闘家「了解っす!」

僧侶「はい!」

<街道>

オオカミ「グルルルルルゥ!!」ザッ

商人「さっそくお出ましね、モンスター」

僧侶「あれはこのあたりでは一番弱いモンスターですね」

勇者(モンスターねぇ……。昔はよく戦ったなぁ)

武闘家「みんなで協力して倒すっす!」

7: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 22:15:04.19 id:myV30AKA0
勇者「ま、そうしますか」チャキ

商人「あら、勇者さま。高そうな武器持ってるわね。それを売っぱらえばお金になるんじゃないの?」

勇者「商人、怖いこと言わないでよ。……冗談だよね?」ビクッ

商人「そうよ。冗談に決まってるじゃない、ジョウダン」

僧侶(目がマジだ……)

武闘家「喋ってる間に、来るっす!」

オオカミ「グルォォッォァァァ!!」バッ

8: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 22:19:41.07 id:myV30AKA0
勇者「ていっ」ガッ

オオカミ「グォッ!?」

武闘家「剣の柄で……って、勇者さま、なんか地味っす……」

勇者「いや、派手ならいいってものじゃないでしょ。やっぱり効果を求めるべきだよ」ガッ ガッ ガッ

オオカミ「グッ! ゲッ! ガッ!」

商人「あんまり効率的じゃない気がするけど……」

僧侶「なんか……可哀想……」

オオカミ「グルルル……」ダッ

武闘家「あっ、逃げたっす!」

9: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 22:22:55.68 id:myV30AKA0
商人「勇者さまがいじめるから……」

勇者「ええ? 私のせい?」

武闘家「そうっすよ! それから、協力しようって言ったじゃないっすか!」

勇者「そ、その件についてはごめん……。あ、でも、もっと強いのが出てきたら、嫌でも協力することになると思うよ?」

僧侶(勇者さま、論点逸らそうとしてる……)

武闘家「むぅ~。約束っすよ、約束!」

勇者「うん、約束」

10: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 22:29:11.28 id:myV30AKA0
商人「そういえば、東の町は玉蜀黍の名産地らしいわ。お金貯まったら食べたいわね」

勇者「バイトすることになりそう……」

武闘家「それはそれで、勇者さまの旅が止まって困るような……」

僧侶「もっと手っ取り早くお金を稼げる方法はないんでしょうか?」

商人「やっぱり、勇者さまの剣を売って……」

勇者「だ、ダメだよ! (これ、勇者からの預かりものだから……)」ダラダラ

12: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 23:55:14.17 id:myV30AKA0
商人「まぁ、それは冗談として……あるわ」

勇者「商人の金銭的な冗談は冗談に聞こえないんだよなぁ……って、あるの!?」

商人「まぁ、あんまりおすすめはしないわ」

武闘家「その方法はなんっすか!? このままじゃ勇者パーティ、餓死で全滅、なんてことになるっす!」

商人「そんながっつかないの。……博打よ」

僧侶「え?」ヒキッ

13: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 00:02:28.52 ID:4l+EWeCJ0
勇者「商人、いくら貧窮してても、そんなの成功しないことくらいわかるよ」

商人「違うわよ。東の町にはね、カジノがあるんだけど……」

武闘家「なにも違わないじゃないっすか……」ジトー

商人「話は最後まで聞きなさい。そのカジノが不正をやってるのよ。それを告発すれば、いくらかは報奨金がもらえるかもしれないわ」

勇者「なるほど……。でも、どうやって不正を暴くの?」

商人「内部潜入よ。幸い、東の町には私の古いなじみの警察がいるし……。気は乗らないけどね」

僧侶「その、警察って悪い人なんですか?」

商人「いや、悪いやつというよりはむしろいいやつなんだけど、暴走するっていうか……」

勇者「ええぃ! とにかく、やらないと始まらない。カジノに行って雇ってもらおう! あれ? バイトしてない?」

僧侶「ま、まぁ、長期じゃないですし……」

 
 
14: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 00:13:51.81 ID:4l+EWeCJ0
<東の町・カジノ前>

勇者「うう、緊張してきた……」ブルブル

商人「勇者さま、モンスターとの戦いでは物怖じしないのに、こういうのはダメなの?」

勇者「それとこれとは話が別だよ……」

武闘家「あたしも頑張るっす! だから勇者さまも元気出すっす!」

僧侶「う~ん。武闘家ちゃんが不安だなぁ」

商人「う~ん。ま、とにかく警察に話は通してあるわ。問題なく面接を受けられるはずよ」

僧侶「あれ? 警察ってそういう職業でしたっけ?」

15: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 07:56:15.69 ID:4l+EWeCJ0
<カジノ・面接室>

担当「え~と、それで勇者さんはどうしてうちで働きたいと思ったんですか?」

勇者「は、はい。お金が足りなくて……」

担当「あ~、そうですか。まぁ最近不況とは言いますしね。勇者さまといえど、その波には逆らえないといったところでしょうか」

勇者「は、はぁ……(人間社会って今、不況なんだ……)」

担当「ま、いいでしょ。結果は一週間以内に、つれの方のと一緒に通知しますね」

勇者「は、はい。ありがとうございました!」

担当「……」ニヤ

18: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 21:35:59.12 ID:4l+EWeCJ0
>>16そんなゆったりなん? 核心部分については最後まで考えてるから完結はすると思う

>>17な、なんですか? 完結しますよ~。長くなりそうだけど

19: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 21:42:52.83 ID:4l+EWeCJ0
 数時間後……

オーナー「ふふ、やつらはどうだった、担当?」

担当「ええ、なかなか需要がありますね。上物です。これは高く売れますよ」

オーナー「男もいるようだが?」

担当「まぁ、そういう需要もありますから、大丈夫でしょう。限りある資源は大切に使わないといけませんからな」

オーナー「それもそうだな。ふふ、ふふふふふ、はーはっはっはっはぁ!!」

担当「カジノでの不正だけでは飽き足らないとは、とことん強欲なお方だ……」フッ

オーナー「金だ。金があれば、何もかもが手に入るんだ! くふふふふ!」

担当「まぁ、私も同感ですがね」クス

20: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 21:56:08.64 ID:4l+EWeCJ0
 
 ――

勇者「ええと、ひとまず面接が終わったね」

商人「わー(棒)」

勇者「しかし、数日間はお金が使えないのも事実。野宿をすることになりました」

僧侶「顔パスとかはないんですね……」

勇者「その間の食料は私が調達してくる」

武闘家「勇者さま、なにかあてがあるんすか?」

勇者「私は毒草とか毒キノコとか見分けることができるんだ」

商人「あ、私もできるわ。まぁ、生きるためには、必要だったからね」

勇者「うん、そうそう」

僧侶「二人とも、どんな修羅な過去を過ごしてきてるんですか……」

勇者「……僧侶くんもただ待ってるだけじゃひまだと思うから、武闘家ちゃんに魔法のことでも教えてあげたら? なにか役にたつかもね」

武闘家「魔法っすか!? 知りたいっす!! 魔法拳士とか憧れるっす!」

僧侶「とくになにかやることがあるわけでもないのでいいですけど……」

商人「折り畳み式テントは私が元から持ってたから、組み立てておいて。話はその後でもいいでしょ?」

武闘家「了解っす!」

僧侶「では、お気を付けて」

勇者・商人「は~い」

21: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 22:09:13.95 ID:4l+EWeCJ0
僧侶「よし、できた。えーと魔法のことだったね」

武闘家「はいっす!」

僧侶「魔法には大きくわけて二つ。さらにそこから分岐していくんだけど、それはその都度ね」

武闘家「気功と実拳みたいな感じっすか?」

僧侶「いや、あんまり関係ないような……。その魔法体系の名は、精霊魔法と神術」

武闘家「響き的には、神術の方が勝ってるっすね!」

僧侶「ある意味、間違ってはいないかな。その神術って言うのは、光術と闇術に分かれるんだ」

武闘家「対立してるって感じがするっす!」

僧侶「そう、光術は人間のみが。闇術は魔族のみが使えるんだ。ちなみに、光術はぼくら僧侶が得意としている防御術や回復術のことだよ」

武闘家「魔族も魔法が使えるんすね……」

僧侶「魔族も知性は持ってるからね。次は精霊魔法。これは土・風・水・火が基本的で、それらを応用して他の属性を編み出していくんだ」

武闘家「雷とかもそこから出てくるんすか?」

僧侶「うん。雷は風と火の合わせ技だね」

武闘家「それで、その魔法の違いってなんすか?」


22: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 22:15:26.97 ID:4l+EWeCJ0
僧侶「契約対象の違いさ」

武闘家「契約?」

僧侶「うん。光術と闇術はそれぞれ、光の神と闇の神と契約するんだ」

武闘家「いかにもって感じっす……。じゃあ、精霊魔法は精霊の力を借りるんすか?」

僧侶「その通り。そしてその肝心の契約方法だね」

武闘家「核心に迫ってきた気がしたっす!」

僧侶「契約真言(リアクト・ワード)を正しく詠唱するんだ」

武闘家「契約真言(リアクト・ワード)?」

僧侶「うん。要するに、自分はあなたを信仰します、だから力を貸してくださいって言うものさ」

武闘家「なんか、一気の魔法のイメージ下がったっす……」

僧侶「あはは……」


23: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 22:23:38.15 ID:4l+EWeCJ0
>>22一気のじゃなくて一気にです……間違えた

僧侶「それで、その契約真言(リアクト・ワード)は一つの魔法につき一回だけ唱えれば、次からは簡易アクションで同じことができるようになるんだ」

武闘家「神様も精霊も一回契約しただけで満足しちゃうんすね」

僧侶「一人から得られる信仰心は一つの術につき、一度までなんだ。ま、そういうことだから、魔法関連の人たちの間では、魔法を覚えたら敵に出会う前に一回目の詠唱を済ませておくのが常識なんだ」

武闘家「なるほど……あたしにも魔法ってできるんすか?」

僧侶「魔法は、誰にでも素質があるよ。ただ、初めの内が初級魔法にとどめておいた方が無難かな」

武闘家「じゃあ、教えてくださいっす!」

僧侶「うん、いいよ。たぶん、勇者さまたちも相談すれば話に乗ってくれると思う。……威力が弱くてもいい火炎魔法あたりとかがいいかなぁ……」

武闘家「食べ物焼いたり、たいまつに火をともしたりとかっすね!」
 
24: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 22:32:51.19 ID:4l+EWeCJ0
勇者「しょうに~ん、なんかいいのあった?」

商人「う~ん。紅天狗しか生えてないわね~」

勇者「商人、それは絶対探してるとこが悪いと思う。あ……」

商人「どうしたの、勇者さま?」

勇者「商人、風魔法使える?」

商人「使えるわ。でもなんで……って、ああ、そういうことね」

勇者「そう、マンドラゴラ」

25: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/05(木) 22:37:44.62 ID:4l+EWeCJ0
勇者「よーし、こっちは準備おっけー! やっていいよ!」

商人「しくじらないようにね……」

商人「風 塵 壁!」ゴォォォォォォォ

勇者「フンッ!」ズボッ

 ギャアアアアアア…

勇者「う~ん、風で耳栓してても響くなぁ……。商人、大丈夫?」

商人「な、なんとかね……。わりとそいつ大きめだし、戻りましょうか」

勇者「うん!」

26: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 18:18:25.13 id:E6U3pWgp0

 ――

武闘家「え? それ食べるんすか?」

勇者「わりとおいしいよ」

 数日後

<カジノ内部>

商人「いや~、みんな受かってて良かったわね。武闘家は不安だったけど」

武闘家「あたしだってやるときはできるんすよ!」

勇者(あとは不正を暴くだけ……)

???「あー! 負けた~!」

武闘家「おわっ!?」ビクッ

商人「あ~、この声は……」

僧侶「知り合いですか?」

商人「そうよ。……ちょっと警官!」

警官「へっ?」

商人「まったく、警察がなんでカジノでギャンブルなんかやってんのよ」

警官「商人じゃないですか! 久しぶりですね!」

商人「数日前に会ったでしょうが。で、なんでギャンブルしてんの?」

警官「ふ……。愚問ですね。それは……」

勇者「それは?」

警官「そこにギャンブルがあるからです!!」

僧侶「うわぁ……」

27: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 18:24:06.93 id:E6U3pWgp0
商人「そのお金はどこから来たのよ?」

警官「経費です」

武闘家「あれ? 経費ってそういうものだったんすか?」

警官「あ、あそこに小銭落ちてる、拾っとこ」

勇者「商人、あの人……」

商人「言わないで。悲しくなってくるから……」

警官「しかし、商人も相変わらず旅してるんですね。あの子たちがさみしがってましたよ」

僧侶「あの子たち?」

商人「ああ、私、妹がいるのよ、八人くらい」

武闘家「大家族っす……」

商人「ま、私になにかあったらよろしくね」

警官「またまた、縁起でもないことを……」フッ

勇者「ええとじゃあね、警官さん」

警官「ええ、小さな勇者さま」ヒラヒラ

28: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 18:37:49.61 id:E6U3pWgp0
担当「勇者さま、オーナーがお呼びです。その他の方々も」

勇者「あ、は~い」

<事務所>

勇者「失礼しま~す」バタン

オーナー「待っていたよ」

黒子たち「……」ズラァ

黒子A「……鍵を閉めます、オーナー」ガチャ

商人「こんなに数を並べて、なんのつもりですか?」

オーナー「まぁまぁ、これを見ろ」スッ

勇者「水晶? いや……あれは……」

オーナー「ほう。勇者さまはご存じですかな。そうです。映像記録水晶です」

商人「なるほどね……」

オーナー「理解が早くて助かるな」

武闘家「え? どういうことっすか?」

オーナー「ふふふ。最近は君らのような貧乳の方が需要高くてね」

勇者・商人「……」カチーン

オーナー「この水晶に君らのあられもない姿を記録し、それを上映して大儲けというわけだ。記録した後は奴隷にする」

勇者「おじさ~ん。そういうくだらない野望を持つのは大いに結構なんだけどね……」ゴゴゴゴゴ

商人「噛みつく相手、間違えたわね……」ゴゴゴゴゴ

僧侶「ひぃっ!」ビクッ

武闘家「なんだかよくわかんないっすけど、このおじさんは悪い人なんすね!」

黒子「ま……まずい……」ジリ

オーナー「くっ、怯むな! 所詮四人だ! 問題ない!」


29: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 18:50:38.12 id:E6U3pWgp0
勇者「煉 獄 炎!」ゴァァァァァ

黒子「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」ジュゥゥゥゥゥゥ

商人「風 霊 剣!」ザンッ

黒子「化物めぇ!」バタッ

武闘家「気 功 脚!」ブォン

黒子「かはぁ!!」ドッ

僧侶「ええと、杖で殴ります」ポコッ

黒子「いてっ」

オーナー「なにをやっとるか、クズどもが!」

勇者「なにをやっとるか、はおじさんだよ」バァ

オーナー「ひぃ!」

勇者「私たちの気にしてることをズバリ的確に言い当ててくれちゃって……目ん玉抉ってやろうか?」チャキ

オーナー「き、貴様ら、それでも勇者一行か?」

商人「時代遅れね。勇者一行が情け深い聖人集団だって、いつ決まったの? それに私たちの力を侮った罪も重いわよ」チャッ

武闘家「な、なんか……怖いっす、二人とも……」

僧侶「同感……って勇者さま、商人さん!」

商人「なによ……!」

担当「そこまでですよ」チャッ

勇者(銃!? いつの間に……)

オーナー「おお! 担当! 助かったぞ!」

担当「いえいえ……」

勇者「くっ……」

オーナー「ははははは! 形成逆転だな!」

???「それはどうでしょうか?」

30: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:21:09.89 id:E6U3pWgp0
オーナー「なに!?」

担当「何者ですか!? 姿を現しなさい!!」

???「あなたの後ろにいるじゃないですか」ガッ

担当「なっ!?」ドサッ

商人「ふ~、早かったわね、警官」

警官「ま、あなたの詰めの甘さは、昔から知ってますからね」

オーナー「き、きさま! 町の警官だな!? どこから入ってきた!?」

警官「ああ、あそこですよ。戦いの音で気づかなかったでしょうけど」スッ

オーナー「か、壁が壊れている!? き、きさま、器物破損だぞ!? 警官のくせに!」

警官「なにか勘違いしてませんか?」

オーナー「な、なに……? お、おい、それは!」

警官「ふ~む、なるほど。この水晶で、色々やってたわけですか。あ、他にも不正の道具が……」ガチャガチャ

オーナー「お……おい……」」

警官「ルール守って、市民を守れないやつは警官じゃありません。そして……」

警官「市民を脅かすやつは市民じゃねーんですよ」ギロッ

オーナー「ひぃっ!」ジョワァァ

警官「ふう。ご協力、感謝いたします!」ビシッ

勇者「こ、こちらこそ助けてくれてありがとう」

警官「いえいえ。こちらも市民の生活を守るのが仕事ですから」

警官「魔族のお嬢さん」コソッ

勇者「え!?」ドキッ

商人「今回は助けられたわね。今度なにかおごるわ」

警官「ま、その時はみんなでやりましょう。この二人は私が連れて行きますので」ズル…ズル…

勇者「不思議な人だね……(なんでバレたんだろ?)」ドキドキ

商人「そうね。あいつとは古い付き合いだけど、未だに謎が多いわ」

31: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:28:38.90 id:E6U3pWgp0
<沼地>

勇者「う~ん。報奨金もらったまではいいけど、ぬるぬるするなぁ……」

商人「文句言わないの……結構時間ロスしちゃったし……」

武闘家「急がないといけないっすね!」

僧侶「う~ん。こういう時に限ってなんか嫌な予感が……!」

 ビリビリビリィ

商人「空気が振動している!?」

勇者(この空気を振動させる”だけ”の呪文は……。あ~、そういえば、あの子の領地だったっけ、ここ)

???「けけけけけ!」

武闘家「だ、誰っすか!? 姿を現すっす!」

???「いいだろう。見せてやるよ!」バッ

僧侶「ローブ?」

???「俺こそが魔王四天王が一人、土王さ!」ケケケ

勇者(やっぱり)

32: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:51:33.24 id:E6U3pWgp0
土王「けけけ。ようこそ、我が領地へ……」

商人「なにか……来る?」

勇者(説明しよう! 土王は不適な言動とは裏腹に、根がすごく真面目なのだ。というわけで私が心の中であの子の言葉を翻訳していく)

勇者(訳:ようこそ。私の領地へ。雰囲気は悪いと思いますけどくつろいでいってくださいね!)

武闘家「負けないっすよ!?」

土王「けけけ。望むところさ」

勇者(訳:勝負ですか? 緊張するけど、やるからには全力でやりますよ!)

商人「風 塵 破!」ヒュォォォォ!

土王「……けけけ。中々やるじゃねーか……」ブシュッ

勇者(訳:す、すごいです! 私も負けてられません!)

土王「振 動 波!」ゴォォォォォォォ

武闘家「うわぁ!」ゴッ

勇者(あれ? わりと本気で来てない、土王? 私いるんだけど……)

33: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 20:22:01.59 id:E6U3pWgp0
土王「あ……そうそう。足元に……気をつけなぁ!」ケケケ

僧侶「!?」チラ

勇者(訳:足場がぬかるんでますから、気を付けてくださいね)

僧侶「くっ、なにかあるのか? 回 復 術!」

武闘家「き、傷が治っていくっす! 僧侶さん、ありがとっす!」パァァァ

土王「けけけ……どうした?」

勇者(訳:ど、どうしました? なにか気に障ることでもありましたか?)

勇者(ま、いっか。そろそろ……)チラ

土王「けけけ」コク

勇者「煉 獄 炎!」ゴァァァァァ

土王「な、なに……!? ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」シュゥゥゥ…

勇者(相変わらず、わけのわかんない魔法ばっか研究してるなぁ……。消滅していくように見せかける呪文なんて……)

土王「くくく、この俺を倒すとはな……。だが俺は四天王の中でも最弱……。そして最後に忠告しておく」ケケケ

勇者(ベタなセリフ好きなんだよね、この子)

土王「夜道に……気をつけなぁ!」ジュゥゥゥ…

商人「ど、どういう意味よ……。まさか、怨念?」ブルッ

勇者(訳:夜道は暗くなって色々危険ですから、注意してくださいね)

34: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 20:31:45.94 id:E6U3pWgp0
勇者「さて、四天王も一人倒したことだし、先を急ぎますか!」

商人「ね、ねぇ勇者さま……さっきあいつ変なこと言ってなかった? 夜道がどうとかって……」

勇者「ああ、言ってたね。ま、大丈夫じゃない?(ほっほー?)」ニヤニヤ

商人「そ、それならいいんだけど……」ブルブル

武闘家「そんなことより、先を急ぐっす!」

僧侶「ええと、確かこの先には、港街がありますね」

勇者「じゃ、しゅっぱ~つ!(むふふ)」ニヤリ

36: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 21:30:26.07 id:E6U3pWgp0
<港町>
勇者「じゃ、例のごとく別行動のち、出発で」

武闘家・僧侶「は~い」

商人「ね、ねぇ武闘家、一緒に来てくれる?」

武闘家「え? いいっすけど、どうかしたんすか。商人さん?」

商人「い、いや、なんでもないわ……」

勇者「……」ニヤニヤ

 ――

武闘家「これからどうするんすか、商人さん?」

商人「とりあえず酒場ね。そこで情報収集するわ(あと、気を紛らわそう)」

武闘家「了解っす!」

商人(勇者さまがにやつきまくってたけど、変なこと考えてないよね……)

37: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 21:40:08.09 id:E6U3pWgp0
<酒場>

 ワイワイガヤガヤ

武闘家「ここの酒場もにぎわってるっすね!」

商人「ま、旅人の交流の場でもあるからね……。マスター、ミルクを二つ」

マスター「かしこまりました」スッ

客A「なぁ、噂で聞いたんだがよ、この世には神術でも、精霊魔法でもない、三番目の魔法があるらしいんだ……」

客B「まじかよ! そんなん発見したら……」

商人「大金が手に入る」ズィッ

客A「な、なんだあんた?」

商人「旅をしている商人よ。その話、詳しく聞かせてくれない?」

客A「変なやつだな。……詳しくっつっても、あんま知らねぇのよ。どこぞの魔族の村に封印されてたとかなんとか……」

商人「魔族……ねぇ……」

武闘家「それってどんな魔法なんすか!?」キラキラ

客A「いや、知らねぇって……。あ、でも俺に話したやつは禁術とか言ってたな」

商人(どっちかというと神術寄り? 覚えておけば後でひと儲けできそうね……)ニヤリ

武闘家「商人さん、悪い顔してるっす……」ジトー

商人「ま、お子様はミルクでも飲んどきなさいな」ゴクッ

武闘家「話はぐらかしたっす……」チビ

38: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 21:45:16.88 id:E6U3pWgp0
僧侶「う~ん。ぼく一人だとやることないな~」

???「おじさ~ん。りんごアメ一つ」

店のオヤジ「あいよ、お嬢ちゃん」

???「ありがとね~」ペロ

僧侶「勇者さま、こんなとこでなにやってるんですか?」

???「勇者? 人違いじゃない?」

僧侶「え? でも勇者さまにそっくり……」

???「……ああ! 私は勇者妹。たぶん、その勇者の妹だよ」

僧侶「そうなんだ……。勇者妹ちゃんはなにしてるの?」

勇者妹「ん~? ま、気長に一人旅をね。ま、機会があったらまたなにか話そうね、お兄さん」

僧侶「うん、またね」

39: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 21:50:20.08 id:E6U3pWgp0
使い魔「キー! キー!」

勇者「うん、わかった。……なるべく早く行く……合流は……水王の地域で」

使い魔「キー!」バタバタ

勇者「……さて、次は風王か。そろそろ、本番……。ま、その前に商人いじっとこ」

勇者「しかし、商人も可愛いとこあるよねー。お化けが怖いなんて……」ニヤニヤ

40: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 21:58:16.25 id:E6U3pWgp0
 夜

勇者「しょうに~ん。悪いんだけど、トイレに付き合ってくれる? 一人だと怖くて……」

商人「わ、わかったわ……」ブルブル

僧侶(勇者さまもタチ悪いな~)

武闘家「むにゃむにゃ……もう食べられないっす……」

 ――

商人「は、早めに澄ませてよね。夜更かしは健康に悪いから」ガクガク

勇者「は~い」ニヤニヤ

勇者「ん?」

商人「な、なに?」ビクッ

 ヒュッ

勇者「!」サッ

 ズドン

勇者「首なしお化けの登場か……」

デュラハン「……」

商人「ひぃっ!?」

勇者「商人はさがってて!」ザッ

商人「う……うん」

デュラハン「……」

勇者「さーて、私にこいつを送りつけた馬鹿はどこのどいつかな?」

41: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 21:58:57.98 id:E6U3pWgp0
 夜

勇者「しょうに~ん。悪いんだけど、トイレに付き合ってくれる? 一人だと怖くて……」

商人「わ、わかったわ……」ブルブル

僧侶(勇者さまもタチ悪いな~)

武闘家「むにゃむにゃ……もう食べられないっす……」

 ――

商人「は、早めに澄ませてよね。夜更かしは健康に悪いから」ガクガク

勇者「は~い」ニヤニヤ

勇者「ん?」

商人「な、なに?」ビクッ

 ヒュッ

勇者「!」サッ

 ズドン

勇者「首なしお化けの登場か……」

デュラハン「……」

商人「ひぃっ!?」

勇者「商人はさがってて!」ザッ

商人「う……うん」

デュラハン「……」

勇者「さーて、私にこいつを送りつけた馬鹿はどこのどいつかな?」

42: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 22:04:07.42 id:E6U3pWgp0
間違えて連投しちゃったぜ……

デュラハン「……」ヒュッ

勇者「こんな夜中にドンパチやるもんじゃないよ。 小火炎!」

デュラハン「……!」ジュアァァァ

勇者「デュラハンの体には契約の紋章がある。それを溶かしてしまえばデュラハンは……」

勇者「消滅する!」

デュラハン「……!!」シュゥゥゥ…

勇者「商人、立てる?」

商人「う、うん……なんとか……って勇者さま」ジトー

勇者「あ、あははは」アセアセ

商人「フンッ!」プイッ

勇者「ごめんって……」

43: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 22:13:58.37 id:E6U3pWgp0
翌日

<北の街道>

勇者「商人、ごめんって、機嫌直してよ~」

商人「……」ツーン

僧侶「今回は勇者さまが悪いですよ」

武闘家「なにかあったんすか?」

商人「なんでもないわよ!」フンッ

武闘家「険悪っす……」

「けけけ、どうした?」

僧侶「こ、この声は!」

土王「そう、土王さ。風の四天王、風王から伝言を預かってるぜ?」

武闘家「お前は勇者さまが倒したはずっす! なんでここにいるっすか!?」

商人「……」ブルブル

土王「けけけ。さぁ、なんでだろうな? 『勇者一人で私の城まで来なさい』だと。けけけ、確かに伝えたぜ……」ドロン

武闘家「ゆ、勇者さま一人でっすか?」

僧侶「明らかに罠ですよ!」

勇者「ま、行くしかないよ、相手がどんな手段で来るかわからない以上」

商人「勝手に行ってくれば?」ツーン

勇者「ほんとにごめんって。なにか、お土産持ってくるよ」

商人「……頑張ってね」プイッ

勇者「……うん!」

44: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 22:23:31.12 id:E6U3pWgp0
オーク「はぁ……」

勇者「どうしたの?」

オーク「おわっ! 人間!? ……いや、あんた魔族か……」

オーク「いやな、風王さまが人間を襲えと命令してくるんだ。俺たちはそんなの嫌なのに……」

勇者(やっぱり……)

オーク「はぁ……魔王さまが変わってから良くなったと思ったのに……。そういえば、あんた、魔王さまの姿を見たことないか?」

勇者「い……いや、ないよ」

オーク「そうだよなぁ……。曰く、下級魔族出身。曰く、歴代最弱にして最強。曰く、世界を滅ぼせし者。そんな変な噂しか聞かなくてな~」

勇者「へ、へ~? それ、誰が流したの?」

オーク「え? 土神さまが……」

勇者(あの子は大事な情報を、会議に引っかからない範囲でベラベラと……。後で怒っとこ)

オーク「あんたはどこに行くんだ?」

勇者「ま、ちょっとね」

勇者(まずは、風王。君を止める。全ては魔族のために……あ、あとちょっと私の目的のためにも)

45: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 22:36:07.45 id:E6U3pWgp0
<風の城>

勇者「……」

風王「あら、いらっしゃい、魔王さま。いえ、今は勇者さまだったかしら?」

勇者「そんなことはどうでもいい。それより、他の魔族に人間を襲うことを強要しているのは、どういうわけだ?」

風王「あら? 不思議なことを言うのね、魔王さま。決まってるじゃない」

風王「人間がうざったいからよ。なんなの、あのゴキブリども? 顔を見るだけで不快だわ……」ペッ

勇者「そんな個人的な理由で……!」

風王「あら、なによ、やる気なの? 下級魔族のま・お・う・さま」

勇者「そう、私は魔王。私の使命は魔族に仇なす全ての事象をうち滅ぼすこと」

勇者「それが例え、同じ魔族であったとしても、だ!」

46: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 22:49:59.62 id:E6U3pWgp0
風王「あら、そう。なら、なんで人間のお仲間なんて連れてるの? 色々面倒じゃない?」

勇者「それは、ここで死ぬ君が知っても意味のないことだ」

風王「上等じゃない! やってみなさいよ! 下級魔族が!!」

勇者「我、悠久の時をたゆたいし汝等に誓う……」

風王「契約真言(リアクト・ワード)? あらかじめ詠唱しときなさいよ! 風 月 輪!」

勇者「……」クイッ

ゴォォォォォォォ

風王「生意気に風の結界なんて張っちゃって!」

勇者「眼前の敵を打ち砕く刃を与えよ!」ブォォォォン

風王「くっ、詠唱を終えたか! (ちっ、途中の詠唱が聞こえなかった……)」

風王「でも、光の剣?(いや……違う……もっと異質な……)」

勇者「……」ボタボタ

風王「とんだ欠陥魔法ね、持ち手から血が出てるじゃない!」

勇者「……」ヒュッ

風王「ふん。どこを狙って……」

 ズバッ

風王「えっ?」ブシャァァァ

勇者「禁術。私たち矢尾族の間でのみ受け継がれてきた、禁断の魔法。……って、もう聞いてないか」

風王「」シーン

勇者「ええと、確かここの担当は、戦士にしてあったかな……」

使い魔「キー! キー!」

勇者「あ、ちょうどいいところに。見ての通りだ。魔王城に伝言してね」

使い魔「キー!」

勇者「ふう……商人へのお土産探さなくちゃ」

47: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 23:53:00.18 id:E6U3pWgp0
<東の町>

警察長「担当が脱走した! まだ遠くには言ってないはすだ、追え!」

警官「了解です!」ダッ

担当「ふふ、ここで捕まるわけにはいきませんのでね……。幻 影 霧!」むわぁ…

警官「くっ……(魔法反応……これは……逃げられましたね……。しかし、あいつの狙いは一体……)」 

警察長「警官、どうだった!?」

警官「ダメです、逃げられました……」

警察「なにをやっている、お前は仕事をこなすからやっていけてるだけなんだぞ!? それが仕事を果たせんでどうする!?」

警官(上司の小言からも逃げ出したい気分ですね……)

オーナー「ワシは出してくれないの?」ポツーン


48: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 06:43:35.66 ID:+UF1Y5wr0
<魔王城>

魔王「あ~! まだ仕事あるのかよ! しかも地味なのばっか!」

側近「情けない方ですね。魔王さまはこの程度の量、半日で終わらせていましたよ? いや、今はあなたが魔王でしたか……」

側近「ともかく、魔王というものはただの置物ではないということです」

魔王「そうは言ってもよ~」

賢者「一応、私もサポートしてるんだけどな……」

戦士「俺は兵士たちの訓練!」

魔王「そういや、魔法使いはどこ行った?」

側近「ああ、あの方なら土王さまのところへ……。土王さまはその方向性はともかく、魔法技術においては魔王さまよりも秀でています。そんな方から教わりたいということもあるのでしょう」

魔王「ふ~ん」

側近「そんなことより、手を動かしてください!」

魔王「は、はい! (魔王ってのも大変なんだな……)」

49: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 06:50:10.12 ID:+UF1Y5wr0
側近「そういえば兵士さん、魔王さまの使い魔から伝言がありました。風の城へ向かってください」

戦士「お! 魔王のやつ、やっと動き始めたってことか! 了解!」タッ

魔王「しかし、数年前までは思いもしなかったぜ。俺が魔王になるなんてな」

賢者「そもそも、ここに来てからは驚きの連続だ。魔王の正体。魔族の内情。謎は未だ多いがな」

側近「あの方は、全ては語らない人ですから……」

魔王「なんだかんだで、あの時のことは覚えてるぜ。変なこと考える魔王もいたもんだって、な」

51: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 06:59:38.31 ID:+UF1Y5wr0
 数年前

<魔王城>

勇者「ついにたどり着いたぞ、魔王!」

魔王「……」

魔法使い「お、女の子?」

魔王「あ、君たちが勇者一行? 待ってたよ」

賢者「余裕だな。城の兵士どもを退けさせたのも、その自信からか?」

魔王「あー、まぁ気持ちはわかるけど、私に戦う意志はない」

戦士「戦うつもりはないだぁ? お前ら魔族のせいでどれだけの人間が犠牲になったと思って……勇者?」

勇者「じゃあ、なにがあるんだ?」

魔王「私は、勇者になってみたい」

 
54: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 07:05:34.86 ID:+UF1Y5wr0
勇者「は?」

魔王「私の持論は”誰もが魔王であり、勇者である”なんだけど」

魔法使い「どういうこと?」

魔王「……人は皆、その人を好きな人と嫌いな人がいる。好きな人にとっては、その人は勇者で……」

賢者「嫌いな人にとっては魔王である……と」

魔王「そう。ただし、この世にはたった二つだけ例外がある」

魔王「それが君と私。つまりは勇者と魔王だ」

55: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 07:12:43.83 ID:+UF1Y5wr0
魔王「あらかじめ定められているんだよ。私は勇者になれないし、君は魔王にはなれない」

魔王「だって、私たちは絶対的に魔王と勇者なんだから。でも、真似事だけでもしてみたいんだ」

勇者「……交渉っていうのは、両方にメリットがないといけない。俺たちに対するメリットは?」

魔王「それももちろん用意してある」

戦士「財宝とかで釣ろうたってそうはいかねぇぞ!」

賢者「いや、それはもっと別のものじゃないのか、魔王?」

魔法使い「別のもの?」

魔王「私は、太古から続く魔族と人間の争いに、終止符を打つことを誓おう」

56: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 07:20:41.80 ID:+UF1Y5wr0
勇者「なに!? そんなことができるのか!?」

魔王「できるさ。詳しくは言えないけどね」

戦士「うさんくせーなぁ」

賢者「いや、私にはこの少女が嘘をついているようには思えない」

勇者「ここで断ると言ったらどうなる?」

魔王「そういう時は仕方ない。私の全力を持ってお相手しよう。戦いを終えた時、私が生き残っていたなら、また次の勇者を待とう」

勇者「わかった……」

戦士「勇者!?」

勇者「なぁ、お前さ。今言ってたことは全部本当だろうけど、もっと別のことも考えてんだろ?」

魔王「さぁね」フッ

勇者「ただし、それは邪悪なことじゃねぇ。……俺も人間の平和を取り戻したい。協力するぜ」

魔王「ありがとう」スッ

勇者「ああ」スッ

魔王・勇者「私(俺)は勇者(魔王)になる」グッ

57: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 07:25:35.29 ID:+UF1Y5wr0
 ――

魔王「で、具体的にどうするんだ?」

勇者「まずは土台を作る。私の部下には四天王っていうのがいるんだけど……」

魔王「ああ、そういえばそんなやつらと戦ったなぁ」

勇者「今、もっとも凶悪な魔族を二人、その地位に立ててある」

魔王「なんで……?」

勇者「その方が監視の目が聞くからね。ただ……その間に周りの魔族たちに悪政をかけてしまうかもしれない……」

魔王「じゃあ、お前が行って倒して来ればいいじゃねぇか」

勇者「私にも立場ってものがあるんだ。勇者になることで、その立場ってものを失くす」

魔王「なるほどな……」

58: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 07:39:58.18 ID:+UF1Y5wr0
勇者「そして、その二人を倒した後、四天王に君の仲間を入れてほしい。一応、領主がいないとやっかいだからね」

魔王「人間が四天王に、かぁ~。戦士の説得は難しそうだな」

勇者「そこをなんとか頼むよ!」ペコッ

魔王「……」

勇者「……」ドキドキ

魔王「わかってるって、頭下げんなよ」

勇者「本当!?」パァァァ

魔王「ああ、本当(しかし、表情だけ見てると、こいつもまだ子供なんだな)」

魔王「そういえば、魔王つっても種族があるだろ? お前はどういう種族出身なんだ?」

62: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 19:01:02.01 ID:+UF1Y5wr0
コテとかつけた方がいいんやろか?

勇者「うん。私の種族は矢尾族っていうんだ。下級魔族の。矢印状の尻尾が特徴の」

魔王「下級魔族なのに魔王になれるのか?」

勇者「……ここだけの話、魔王っていうのは統治能力がある中で一番強い魔族がなるんだ」

魔王「で、でも上級魔族にも、統治能力があるやつはいるんだろ?」

勇者「……私の本気は、魔族の中で一番強いんだよ。私の一族に伝えられてきた、禁術という魔法のおかげでね」

魔王「禁術……? それはどんな魔法で、どんくらい強いんだ?」

勇者「その内容を教えることはできない。もしかしたら教えることもあるかもしれないけど、絶対に修得させない。ただ強さは……う~ん」

勇者「たとえばさ、勇者。これはもしもの話だ。君を含めた世界中の人間、魔族が私の相手になったとする」

魔王「ぜ、絶望的だな」

勇者「私が勝つ」

魔王「な……!?」




63: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 19:15:05.22 ID:+UF1Y5wr0
勇者「禁術とは、そういう魔法だ。世界を滅ぼすことのできる魔法。いくら信頼する人がいても、教えることはできない」

魔王「なんだって、そんな魔法が下級魔族のとこに……」

勇者「下級魔族だからこそ……さ。……君たちは全ての人間と魔族がいがみあってると思っているようだが、それは少し違う」

魔王「じゃあ、なんだってんだ?」

勇者「人間を嫌う本能は、上級魔族にのみ現れる傾向なんだ。覚えはないかい? 人を嫌わない下級魔族に」

魔王「そういえば……旅の途中で何度かあったな……」

勇者「上級魔族に渡ったら、人間界はたちまち滅んでしまう」

魔王「……」ゴクッ

勇者「ま、本能を抑える上級魔族もいるんだけどね」

勇者「そして……もう一方、勇者の旅路には様々な疑問点が残る」

魔王「疑問点?」

勇者「なぜ、最初の方で強い魔族が出せないのか、勇者はなぜパーティーを組むのか」

魔王「そ、それはそっち側の問題じゃないのか? 強い魔族の話だってそっちの配置の問題だし、パーティーだってそっちの方が
強いから……」

勇者「……ごめん。変なこと言った」

魔王「……なぁ魔王、お前はそれらの問いに対する答えを、全部知ってるんじゃないのか?」

勇者「さて、ね……」

64: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 19:36:27.39 ID:+UF1Y5wr0
勇者「さて、世間話はおしまい。君にはこれから、魔王としての教育をみっちり受けさせてあげるよ」ヒヒヒ

魔王「お、おてわらかに~」

――

魔王「な~んてことがあったなぁ」

賢者「ふふ。初めの内は疑っていましたが、魔族も人間と変わらないということを、あの子から教わりました」

魔王「ああ、魔族にもいいやつ悪いやつの区別があって、誰かを守りたいと思うやつもいる、ってな」

側近「感動的に締めくくろうとしている中悪いのですが、働いてください!!」

魔王・賢者「は、はい!」

66: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 20:16:02.85 ID:+UF1Y5wr0
<滅びし村>

商人「ここは……村が崩壊してからだいぶ時間が経ってるわね……。それも、数年そこらじゃない……」

勇者「……」

僧侶「やはり、魔族が……」

武闘家「勇者さま、どうしたんすか?」

勇者「いや、なんでもないよ」

勇者(そう、ここは魔族が滅ぼした村。そして……)

勇者(私の、故郷)

67: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 21:31:53.50 ID:+UF1Y5wr0
勇者「こんなところに長くいても仕方がない。先を急ごう」

商人「え……ええ」

武闘家(勇者さま?)

僧侶(しかし……なぜこの村は残ってるんだ?)

勇者(そう、私”たち”の旅も、もうすぐ終わりを迎える……。それまでは、どうか……)

68: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 21:44:03.89 ID:+UF1Y5wr0
土王「けけけ。なかなかやるじゃねーか」

魔法使い「でも、まだ土王さんには敵わないよ」

土王「けけけ、俺はこれ一筋だからな……。だが、必殺技を教えといてやるよ」

魔法使い「必殺技?」

勇者妹「あ、土王に魔法使い、久しぶり」

土王「ん? 魔王妹か。けけけ、また会ったな」

魔法使い「久しぶり~」

勇者妹「なに? 呪文の研究?」

土王「ま、そんなところさ」

魔法使い「魔王妹ちゃん、なんか面白い土産話ない?」

勇者妹「ん~? 面白いかどうかはわからないけど、そういうのはあるよ」

土王「けけけ、ぜひ知りたいね」

勇者妹「はじまりの町と魔王城を隔てる海には古代の超兵器が眠ってるらしいんだってさ」

魔法使い「ふーん。私はそういうのあんまり興味ないかな~」

土王「俺も、そういうのは専門外だ」

勇者妹「私はこれから古い知人に会いに行ってくるよ」

土王「けけけ。せいぜい気をつけなぁ!」

勇者妹「うん、またね」

魔法使い「まったね~」

69: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 21:54:36.24 ID:+UF1Y5wr0
土王「さて、ほどよい休憩も入ったところで、さっそく必殺技を見せよう」ケケケ

魔法使い「……」ワクワク

土王「ま、俺も今日初めてやるがな」ケケケ

土王「大地に埋もれし土の精、激流をたゆたいし水の精」

魔法使い「二精霊の融合魔法?」

土王「灼熱纏いし炎の精、大気に潜みし風の精」

魔法使い「いや……違う!?」

土王「魔を統べたる闇の神。我、ここに汝等に誓わん」

魔法使い「これは、全魔法の融合……」

土王「我、汝等がため、混沌をもたらさんことを!」

土王「混 沌 黒 穴!」ズァァァァ

ゴヒュゥゥゥゥ! ゴァァァァァ! ゴガァァァァァ! パリィイィィン!

魔法使い「そ、空が異常なことに……」

土王「け、けけけ……」ガクッ

魔法使い「ど、どうしたの、土王さん!?」

土王「また、魔王に怒られる……」

魔法使い「あ……そう」ガクッ

70: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 22:01:37.81 ID:+UF1Y5wr0
土王「まぁ、似たようなことを、そっちは光術でやればいいのさ」

魔法使い「なるほど……属性魔法の詠唱は土王さんと逆にやった方がよさそう……」

――

水の城・門前

勇者「商人、武闘家ちゃん、僧侶くん。君たちに言っておきたいことがある」

商人「な、なによ。急に改まっちゃって……」

僧侶「どうしたんですか? 悩みがあるなら相談に乗りますよ? これでも聖職者ですから」

武闘家「あたしも力になるっす!」

勇者「……」

勇者「私”たち”の旅はここで、お終いだ」

75: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 07:11:55.77 ID:81t13/MZ0
武闘家「どういうことっすか!?」

勇者「私は……魔王だ」

僧侶「な……!?」

勇者「嘘じゃない。闇術も使える。ほら」ズォォォオォ

僧侶「確かに、その闇の渦は闇術にある呪文……」

勇者「私は君たちを利用していたに過ぎない。君たちはただの駒なんだよ」

商人「……勇者さま、嘘つくの下手ね」

勇者「……私が魔王であることは事実だ」

商人「そっちじゃないわ」

勇者「え?」

商人「あなたは、そんな感情を切り捨てられるような子じゃないわ」

僧侶「まぁ、表情豊かではありますよね」

武闘家「それに、最近の勇者さまはなんだかさびしそうだったっす!」

勇者「……でも」

商人「仮にあなたが魔王だったとして、問題ないわ。あなたは、私たちの勇者さまなのよ」

勇者「商人……」

僧侶「突然の告白に少し驚きはしましたが、商人さんと同意見です」

勇者「僧侶くん……」

武闘家「旅も長くなったっす! みんなの性格くらい、あたしにもわかるっす!」

勇者「武闘家ちゃん……」

勇者「……みんな」

勇者「ありがと」グスッ

商人「あっれ~? 勇者さま泣いてるの~?」ニヤニヤ

僧侶(この人も大人げないな~。ここぞとばかりに仕返ししてる)

勇者「う、うるさい!」ゴシゴシ

76: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 07:25:51.61 ID:81t13/MZ0
商人「でも、なんでその魔王さまが勇者の旅をしてるのかは、教えてほしいな~」

勇者「あまり多くは言えないけど、目的は二つあるんだ。一つは凶悪な魔族を倒すため。ほら、人間でもいるでしょ? 悪いやつって」

僧侶「否定はしませんね」

武闘家「逆に、勇者さまがいるから、魔族にも良い人がいるってことっす!」

勇者「……」カァァ

勇者「え、えっとともかく。後の一つは、魔族と人間の争いを終わらせるためだ」

商人「そんなことが……。でも、それならなおさら私たちと別れなくても良かったんじゃ……」

勇者「だ、だって……。いつか嘘がバレて嫌われるのが怖かったんだもん……」

商人(なにこの勇者さま可愛い)

勇者「だからもう、自分から嫌われておこう……って?」

商人「大丈夫。そんなことで嫌いになったりしないわ」ギュッ

勇者「うっ……ひぐっ」ボロボロ

武闘家「あー! 商人さん、勇者さま泣かせたっす!」

僧侶「大人げないにも程がある……」

商人「い……いや、これは……」アセ

勇者「私……こんな風に抱きしめられたこと、なくて!」ズビー

商人「よしよし。大丈夫。お姉ちゃんとその他二名がついてるから」ナデナデ

武闘家「その他二名……」

僧侶「ま、いいんじゃない?」

77: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 07:50:11.96 ID:81t13/MZ0
勇者「……もう大丈夫」バッ

商人「あ……」

勇者「ええと、今後の予定が必要だね」

僧侶「そうですね……」

勇者「基本的にルートは変わらない。ただ、この先の水王は味方だ。すんなり通してくれる。この前の土王もね」

商人(良かった……幽霊とかのたぐいじゃなかったんだ)

僧侶「じゃあ、敵は最後の四天王ですか?」

勇者「うん。その名は火王。魔族すらも虐殺の対象としか見ていない、もっとも凶悪な魔族だ」

勇者(そして、私の故郷もあいつに……)

武闘家「そいつを倒したあとはどうするんすか?」

勇者「魔王城に向かい、最後の仕上げをする」

商人「最後の仕上げ?」

勇者「ごめん……それはまだ言えない」

商人「……勇者さまがそういうなら、本当に言えないことなんでしょ。いいわ、今後の予定はそんな感じで」

僧侶「異論なしです」

武闘家「右に同じくっす!」

勇者「うん……。では、出発!」

78: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 08:06:48.19 ID:81t13/MZ0
勇者妹「やっほー、遊び人、いや、盗賊だったっけ?」

警官「おや、珍しい客人ですね矢尾少女さん。……それらは昔の話です。今は警官ですよ」

勇者妹「へ~、あの盗賊がね~。意外。あ、でも今は私も勇者妹だよ」

警官「ああ、やはりでしたか。かなり前にあなたのお姉さんに会いましたよ」

勇者妹「あはは、元気そうだった?」

警官「はい、とっても。……でも、世間話をしにきたというわけではないんでしょう?」

勇者妹「まぁ、ね。……なにか、巨大な力がうごめくのを感じるんだ。君に力を貸してほしい」

警官「ふ。それが市民の平和を脅かす可能性があるなら、そうするしかありませんね」

勇者妹「やっぱり、昔から変わってないね」ニッ

警官「あなたも同じですよ」フッ

79: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 08:18:09.57 ID:81t13/MZ0
<地下帝国>

担当「お前たち、勇者を探せ、[ピーーー]んだ!」

機械兵「……」コクッ

ザッザッザッ

担当「勇者? 魔王? 下らん。おとぎ話はおしまいだ。この世において絶対は科学。魔法も、心も神も! 偽りの力だということを教えてやろう。この科学王が」

科学王「そう、世界を支配するのは、どこぞの人間でも、魔族でもない。万軍の機械兵を率いし、この科学王だ!」

科学王「そして……そのために魔族(資源)を味方につけ、私の障害になるもの全て! 跡形もなく消し飛ばしてくれる!」

科学王「くくく、ははは、はーはっはっはっぁ!!」

80: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 08:33:45.36 ID:81t13/MZ0
<水の城>

水王「お待ちしておりました、魔王さま……おや? 人間の方も一緒ですか?」

勇者「ま、まーね」

水王「はぁ、また私情に流されたのですか。まぁ、私はそんなあなたが好きなんですけどね。いえ、愛しているといっても過言ではない」

勇者(土王といい、水王といい、なんで魔王直属の女は同姓好きなんだ……)

武闘家「あたしも勇者さま大好きっす!」

水王「ほう、あなたも。では、私たちはライバルですね」

武闘家「よくわかんないっすけど、ライバルっす!」

僧侶「絶対、意味合いが違うような……」

商人「気持ちはわからないでもないわね」

勇者「え?」

商人「あ……」フィッ

勇者「ねぇ、なんで視線逸らすの、商人?」

商人「なんでもないわ」

81: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 08:49:04.83 ID:81t13/MZ0
水王「そう! 私の魔王さまへの愛が、魔族の本能を凌駕した!」

勇者「あー、そういうのいいから、話進めて」

水王「こほん。そうでしたね。人間の方がここにいるということは、だいたいの話は聞いているのでしょう」

商人「まぁね」

水王「しかし、勇者さま、お急ぎください。火王の悪政は深まるばかり」

勇者「うん。使い魔から連絡があった。あいつを早く倒さなきゃいけない。そこでみんな」

武闘家「なにかあるんすか?」

勇者「これはお願いなんだけど、火王との戦いだけは私一人にやらせてほしい。あいつには個人的に用があるんだ」

商人「……その様子だと、なにか、強い想いがあるみたいね」

水王「……魔王さま、お取り込み中すみませんが、客人のようです。いえ、機械ですか」

勇者「じゃあ、私たちが……」

水王「いえ、ここは私におまかせください」スッ

水王「私は、あなたの配下、魔王四天王が一人、水王なのですから」

勇者「水王……。うん、任せた!」

82: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 08:50:16.10 ID:81t13/MZ0
ちょっとPXZの8週目17話やってくる。それまで気長に待て!

84: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 10:19:07.18 ID:81t13/MZ0
機械兵「……」ザッザッ

水王「ふむ……。魔の者ではありませんね。かといって、人間側が組織立って用意したという話も聞かない……。なにか、別の勢力。そんなところでしょうか」

水王「今回の魔王さまの旅路。やっかいなことになりそうですね」

水王「しかし、そのやっかいを取り除くのが私の仕事。行きますよ!」

水王「激 流 渦 水!」

ザバァァァァ!!

機械兵「……!」バキィ!

水王「……ここから先へは通しません!」 

85: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 10:27:17.43 ID:81t13/MZ0
<火の城>

火王「ふふふふ。俺はこの時を待っていた。魔王、お前の中に眠る禁術の秘密を暴き、世界を滅ぼす力を手に入れてやる」

火部下「」グチャァ

火王「ふふふ。俺をこんな不自由なポストに置きやがって」ググッ

火部下「」ブギュッ!

火王「ああ、楽しみだ。お前の悲鳴を、飛び散る臓物を! この耳に、眼に焼き付けさせてくれ、あの時の……」

火王「お前の両親のように!」

86: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 10:38:23.53 ID:81t13/MZ0
<魔王城>

勇者妹「た~だいまっと」ヒュン

魔王「お、魔王妹じゃねぇか。味方が見つかったのか?」

勇者妹「うん。まぁね」

警官「ここは……?」

側近「魔王城です。人間の方」

警官「……」ポカーン

勇者妹「さすがの警官にも刺激が強すぎたか……」

賢者「そういえば、そろそろ私の出番だな」

魔王「まだ気がはえーんじゃねぇの?」

賢者「どうかな?」

賢者「時の流れは速い。案外、彼女はもう、答えを手に入れてるのかもしれないよ」

魔王「お前の言ってることはさっぱりわからん」

賢者「正直、私も何言ってるかわかんない」

勇者妹「そうだね、そろそろだ。土王と魔法使い、戦士と水王にも召集をかけておかなきゃ」

警官「……ハッ!」

警官「なにか、あるんですか?」

勇者妹「あ、起きた。……勇者か馬鹿が目指すのは魔王城ってことさ」

警官「……? よくはわかりませんが、市民に脅威が迫っているのなら、見過ごせませんね」

魔王「あんたの言う市民には、魔族も入っているのか?」

警官「なにを当たり前のことを。この世に生ける悪人以外のもの全て、それすなわち市民です!」

側近「変な人ですね。……ですが」フッ

魔王「ああ、悪いやつではねぇ」ニッ

勇者妹「私の友人に、悪いやつは一人もいないさ」


87: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 10:40:57.62 ID:81t13/MZ0
<火の城・門前>

勇者「じゃあ、行ってくるよ」

商人「必ず帰ってくるのよ」

武闘家「待ってるっす!」

僧侶「どうか、ご武運を」

勇者「うん!」タッ

商人「さ~て、私たちもただ待ってるってわけにもいかないわね」

僧侶「そのようですね」

武闘家「勇者さまの邪魔はさせないっす!」

機械兵「……」ズラァ

88: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 10:45:54.78 ID:81t13/MZ0
<火の城・内部>

勇者「……」

火王「待っていたぞ、魔王」

勇者「その様子なら、私がなにをしにきたのかはわかっているようだな」

火王「ああ、ちゃあぁんと、わかっているさ」

火王「俺から、禁術の秘密を奪われるために来たんだろ?」ニタァ

勇者「……」ビクッ

火王「ははは。百と数十年の時が経っても恐怖は消えねぇか。だが、お前のその表情、最高にそそられるぜ?」

勇者「だ、黙れ!」

火王「怖いのか? お嬢ちゃん。声が震えてるぜ?」

勇者「くっ……!」

89: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 11:02:19.00 ID:81t13/MZ0
勇者「……確かに私は、お前が怖い」

火王「ほう? 禁術の秘密を渡せば、なにもしないでやってもいいぜ」

勇者「それは断る。ただ私には、お前への恐怖に勝る目的がある!」キッ

火王「ちっ、気に喰わねぇ。俺はそんなツラみたいんじゃねぇんだよ。下級魔族や人間どもの! 絶望と恐怖で醜く歪んだ顔を見ていたんだよ!」

勇者「だから私はおまえを倒しに来たんだ。それに、禁術はおまえごときが扱いきれる代物ものじゃない」

火王「なに?」

勇者「冥土の土産ってやつだ。おまえに禁術の正体を見せよう」

火王「ほう? 俺を殺せるつもりか」ニヤ

90: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 11:16:08.17 ID:81t13/MZ0
勇者「禁術は他の魔法と違って、毎回契約真言(リアクト・ワード)を唱える必要がある」

火王(なにか、理由があるってわけか)

勇者「なぜか。それは禁術の契約対象による」

火王「契約対象だと?」

勇者「禁術の契約対象……それは」

勇者「世界が生まれてから発生した、死者の魂全てだ」


91: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 11:41:20.89 ID:81t13/MZ0
火王「そうか……それならば納得がいく! 世界を滅ぼせるという噂も、嘘ではないようだ」

勇者「そう。嘘じゃない。禁術の使用者には、世界に生きるものを軽く凌駕する死者が味方するのだから」

火王「よこせ! そいつをよこせ! そいつを使い、魔王となり、世界に破滅をもたらしてくれる!」ハァハァ

火王「ああ、その時、魔族も人もどんな顔をするだろうか……」

勇者「おまえは絶対に魔王にはなれない」

火王「ああ!?」

勇者「その理由は三つ。そのうち二つは、魔王になるための絶対条件」

勇者「おまえには統治能力がなく、純粋に力がない」

火王「俺に……力がない……だと?」

勇者「そして、三つめの理由。それは……」

勇者「この私が、魔王だからだ」

92: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 11:50:16.06 ID:81t13/MZ0
勇者「さて、話はお終いだ。私は魔王の使命により、お前を処刑する」

火王「ふふ! できるのかぁ!? 煉 獄 炎!」

勇者「我、悠久の時をたゆたいし汝等に誓う」クィッ、クイッ

ボァァァァ!!

火王「ふん、俺に対して火の結界で挑むか!」

勇者「わが身の一部、汝等に捧げんことを。その対価として……」

火王「おるぁぁぁぁ!!」

バキィィィ

火王「ははは、結界を破ってやったぜ! ……ん?」

コォォォォ

火王「炎の結界の中に、水の結界だと!?」

勇者「我に眼前の敵を打ち砕く刃を与えよ!」ブォォォォン

勇者「私がおまえに禁術を扱いきれないと言った理由はこれだ」ボタボタ

火王「流血……」

勇者「死者の魂を発現させるには、使用者の生命力そのものが必要。もし、おまえがこれを手に入れたなら、世界を滅ぼすなどと考えてるなら、やめた方がいい」

勇者「おまえ自身が滅びるぞ」

 
93: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 11:59:31.25 ID:81t13/MZ0
火王「ちぃっ!」

勇者「……」ヒュッ

スパッ

火王「お、俺の腕がぁ!?」ボトッ

勇者「楽には殺さない。私の個人的な復讐もやりとげさせてもらう」ヒュッ

ザシュッ!

火王「あ、足……。わ、悪かった、俺が悪かったよ! 謝るから」

勇者「謝罪してなんになる? 私の両親と同じ姿にしてから、殺してやる」

科学王「いけませんなぁ……女性がそのような物言いは」

勇者「誰だ!? ……いや、おまえはカジノにいた……」

科学王「左様。担当でございます。もっとも今は、科学王を名乗っていますがね」

勇者「なにをしにきた?」ボタボタ

科学王「ほっほっ。そこにおられる、火のお方を味方にしたいのですよ」

火王「……」

勇者「やらせると思うか?」

科学王「思いませんゆえ、こうします。幻 影 霧!」むわん

勇者(これは……視界を惑わす風魔法!)シュンッ!

勇者「……」

勇者「くそっ、ダメだ、逃げられた!」

94: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 12:04:59.37 ID:81t13/MZ0
――

勇者「……」

商人「勇者さま!」

武闘家「よかったっす! 勝ったんすね!?」

勇者「いや……逃げられた。担当に連れられて……」

僧侶「担当って、あのカジノにいた……」

機械兵「……」シーン

勇者「それは?」

商人「それが、いきなり襲ってきたのよ、水の城と同じように」

勇者「……担当は科学王と名乗っていた。もしかしたら、そいつが商人たちの目をごまかすために差し向けたのかも」

武闘家「そういえば、戦いに夢中で、気を感じるひまもなかったっす……」

勇者「とにかく、魔王城までにもう、障害はない。すぐに魔王城へ向かおう」

商人・武闘家・僧侶「了解!」

95: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 12:08:40.19 ID:81t13/MZ0
土王「けけけ、わかった、すぐいく」

使い魔「キー!」バタバタ

魔法使い「どうしたの、土王さん?」

土王「全員、魔王城に来いだとよ。戦士と水王にも声をかけてあるそうだ」ケケケ

魔法使い「……いよいよって、ことね」

土王「ああ、いよいよ魔王の真意が明かされる。そして、魔王妹の言っていた……」

魔法使い「おおきな力のうごめき……」

土王「行くか……」ケケケ

魔法使い「うん!」

96: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 12:12:42.77 ID:81t13/MZ0
<魔王城・魔王の間>

魔王「ふふふ、よく来たな、勇者よ」

勇者「君も、そういうノリ使えるようになったんだ」

魔王「まぁな」フッ

商人「ねぇ、勇者さま、あの人は?」コソッ

勇者「うん、本当の勇者さ」

武闘家「勇者さまが魔王なんすか!?」

魔王「まぁ、魔王だって勇者になってるんだ。不思議はねぇだろ」

僧侶「確かに……」

魔王「さて、魔王。教えてもらうぞ。お前の真意」

勇者「はぁ~、仕方ないか。じゃあ、教えよう。勇者の旅路の秘密を」

97: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 12:15:32.24 ID:81t13/MZ0
勇者「勇者、初代魔王と勇者は、いつ生まれたと思う?」

魔王「え~と、数千年くらい前?」

勇者「はずれ。答えは、世界が始まってすぐ」

商人「そ、そんなに!?」

勇者「最初、世界はたった二つの点だけで出来ていた」

僧侶「勇者さま、それがまさか」

勇者「そう、のちに勇者と魔王と呼ばれる存在だ」

98: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 12:23:05.63 ID:81t13/MZ0
勇者「勇者の点が魔王の点を目指す。それらが繰り返されるにつれ、判明することがある」

武闘家「それはなんっすか!?」

勇者「勇者の旅路には、周囲にエネルギーをもたらす力がある。それは、生物の誕生だったり、閃きだったり。そんな、進化に必要なものだ」

勇者「そして、勇者の旅路は回数を重ねるごとに大きくなり、次第に今のような形になっていった」

勇者「魔王側の方が強いのも、動く点を補充するより都合がいい。力を持つ魔族が人間を嫌うのも、この対立関係を維持するため。いきなり強い魔族が襲ってこないのも、勇者を魔王までたどり着かせるため」

商人「ゆ、勇者さま、その言い方、まるで……」

勇者「そう、それこそが魔王と勇者の正体。世界を動かす、消耗品の舞台装置」


99: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 12:35:46.30 ID:81t13/MZ0
勇者「そして、魔王か勇者が[ピーーー]ば、それぞれ、また別の魔王と勇者が補充される」

魔王「じゃあ、結局、魔王を倒そうが、勇者が死のうが平和なんて……!」

勇者「一つだけ、方法はある」

僧侶「方法?」

勇者「私たちを創った、創世主さまにお願いするのさ。システムを変えてくれってね」

商人「創世主?」

勇者「魔王城とはじまりの町を隔てる海の上空に存在する、とっても偉い人のことさ」

魔王「でも、どうやって会いに行くんだよ?」

勇者「ま、それは明日だね。今日は寝よっか」

武闘家「え~?」

商人「はぁ、勇者さまは相変わらずマイペースねぇ」

僧侶「慣れてますけどね」ハァ…

勇者「えへへ……」

魔王(こいつの仲間も、いいやつらみたいだな)

昼休憩だ。色々と気になりつつ待て!

102: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 14:12:21.50 ID:81t13/MZ0
<地下帝国>

火王「おお!? 動きやがる! 俺の新しい腕と足!」

科学王「当然です。科学の力は絶対ですから。義手・義足程度……」

火王「だが……てめぇの狙いはなんだ?」

科学王「ふふ、そうですね、目下の目標は、勇者と魔王。その双方を滅ぼすことでしょうか」

火王「そして、俺に協力してほしいと?」

科学王「はい、ぜひとも。あなたも、勇者となにかあったのでしょう?」

火王「勇者……ああ、魔王のことか。そうだな。やつは、俺が八つ裂きにしないで気にすまねぇ!」

科学王「ほっほっ。契約成立ですな」

火王(いけすかねーやろーだ。魔王を殺したそのあかつきには……)

科学王(まったく、なんと野蛮で下品な男か。利用するだけ利用して、それが終わったなら……)

火王・科学王(まっさきに殺してやる!)

103: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 14:14:36.76 ID:81t13/MZ0
ちょっとエッチな展開、書いた方がいいですか?

104: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 14:21:46.76 ID:81t13/MZ0
<魔王城>
警官「おや、商人じゃないですか」

商人「なんであんたがいんのよ……」

警官「決まっています! 市民の平和を守るためです!」

商人「は~、そういうとこは盗賊時代から変わってないわね。義賊さま?」

警官「そ、それは若気の至りというやつで~」モジモジ

商人「はいはい、わかったわかった……」

105: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 14:28:30.08 ID:81t13/MZ0
土王「けけけ……」バチバチバチ

水王「ふふふ」バチバチバチ

魔法使い「す、すごい気迫!」

戦士「なぁ、昔もこんなことなかったか?」

側近「お二人は恋のライバルというやつですからね」

賢者「ただ、そのお相手は魔王なんだろう?」

側近「ま、そういうことです」


106: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 14:31:17.34 ID:81t13/MZ0
魔王「でなー、そこのドラゴンがなぁ」

武闘家「やっぱり、こっちの勇者さまもすごいっす!」キラキラ

僧侶(武闘家ちゃんも喜んでるみたいだしこっちの勇者さまも、本当にいい人なんだな)

魔王「で、そこで俺がドーンって言ってバーンってやったんだ!」

武闘家「すごいっす!」パチパチパチ

僧侶(ちょっと、馬鹿っぽいけど)

107: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 14:35:40.26 ID:81t13/MZ0
勇者妹「やっほー、久しぶり、お姉ちゃん」

勇者「ああ、久しぶり。別に、私の前では隠さなくていいのに……」

勇者妹「え~? 私、これ結構気に入ってるのに。じゃあ、”本体”って呼ぶ?」

勇者「いや、やっぱお姉ちゃんでいい」

勇者妹「でしょ~?」

勇者「明日は早い。私はもう寝るよ」

勇者妹「……は~い」ニヤ

110: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 15:54:34.78 ID:81t13/MZ0
翌日……

<海>

勇者「さて、ここからは私と勇者しか行けない」

魔王「なんでだ?」

勇者「さぁね、創世主様に聞いてみないとわかんないよ」

勇者「……」ブァァァァン

武闘家「勇者さまの身に、気功? いや、違うっす!」

ズァァァァ…

僧侶「空が、裂けていく……」

勇者「ふ~い。じゃ、行こうか、勇者」

魔王「ああ」

商人「勇者さま」

勇者「なぁに、商人?」

商人「何しに行くの?」

勇者「それは創世主様に会いに……」

商人「そういうことじゃないわ」

勇者「……ああ、そういうこと。ちょっと、勇者になりに」

商人「よし、行ってこ~い!」

勇者「うん! 飛 翔 結!」ふわぁ…

魔王「俺も! 飛 翔 結!」ふわぁ…

土王「けけけ、こっちもなにか起こりそうだぜ?」

魔法使い「なにか?」

ゴゴゴゴゴ

賢者「これは……海からなにか巨大な……!」

科学王「それは、この地に眠っていた、古代遺産ですよ。どうして目覚めたかはわかりませんがね」

武闘家「担当! いや、科学王っすね! どこから話してるっすか!?」

商人(勇者の……旅路!)

科学王「いえ、ちょっと科学の力で拡張しているんですよ。場所自体はおまえたちの対岸。……これは私の兵たちに力を与えてくれる。さらに幸運なことにおまえたちの元にたどり着く橋となった!」

機械兵「……」ザッ

戦士「へっ、どこのどいつだか知らねぇが面白れぇ! 数万ってところか?」

火王「いや、数十万だ」

上級魔族軍「ふふふ」

水王「火王! 貴様、よくもぬけぬけと!」

火王「やかましい、水女。ちっ、魔王はいやがらねーのかよ!」

魔王妹「君ごときが、いまさら魔王に会えると思ってのかい?」

火王「てめぇは……面白れぇ。てめぇから禁術を奪うってのも乙かもなぁ!」

側近「どうやら、最後の戦いのようですね。行きましょう!」

111: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 16:02:47.28 ID:81t13/MZ0
<創世主の空間>

創世主「ようこそ、二つの舞台装置」コォォォォ

勇者(凄まじい気迫だ……)

勇者「私たちのことはわかっていますね」

創世主「ええ、わかっています。私の箱庭の、単なる装置に過ぎぬもの」

魔王「なんだと!?」

勇者「……」スッ

魔王「魔王!?」

創世主「かつて、私は世界と言う名の箱庭をつくりました。私が行ったのは、創造と、ある程度の調整のみ」

創世主「しかし、世界は素晴らしい進化を見せてくれました。私は箱庭にいる全てのものを愛します」

創世主「ですが、なぜ単なる消耗品の装置を愛さなければならないのですか?」

112: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 16:12:12.59 ID:81t13/MZ0
魔王「てめぇ!」

勇者「待て、勇者!」

魔王「くっ……」

勇者「では、その認識でいいので、話半分で聞いてくれませんか?」

創世主「良いでしょう、許可します」

勇者「私たち、舞台装置の中で、本当に闘争が必要なのでしょうか?」

創世主「そうしなければ、あなたたちは……」

勇者「そもそも、二つの点というのは、不安定すぎます。今の魔王城には、特異点たりえる器が、十人」

魔王(まさか、こいつが仲間をつけた理由ってのは……あいつらを勇者と魔王にするために?」

勇者「ちょうど拠点も5つありますから、ちょうどいいかと」

勇者「そして、巨大な力は、線ではなく、円を描くのです。目的が明確になっているなら、争う必要もない。魔族から、人間への憎しみを消していただきたい」

創世主「なるほど……確かに、あなたの案を採用してもいいでしょう」

勇者「なら!」

創世主「ただし!」

創世主「力を示しなさい。力なき言葉など、ただの妄執に過ぎません」

勇者「わかりました。……と、いうことだから、勇者。ここから出て」

魔王「は……? なにいって。うぉわ!」シュゥゥゥ…

創世主「勇者を外に出しました。これでいいのですね?」

勇者「はい」

創世主「魔王……いや、死に向かうものよ!」
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114: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 16:24:41.20 ID:81t13/MZ0
<海>
賢者「攻 結 界!」バァァァァ!

戦士「ぬぉらぁぁぁ!!」ザシュッ! ヒュバッ!

水王「私たちを倒したいのなら、億の軍を投入しなさい! 激 流 渦 水!」ザバァァァァ

機械兵「……!」バキィ

上級魔族「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」

商人「また、あんたと一緒に戦うなんてね! 腕鈍ってないでしょうね!」ザシュッ

警官「誰にものを言ってるんですか!?」パンッ パンッ

上級魔族「うぐっ!」ピスッ

機械兵「……!」ゴトッ

科学王「くそ! 怯むな! 撃て!」

機械兵「……」ドバッ!

僧侶「結 界 術!」パキィィィン

武闘家「そのまま、ぶん投げ気功脚っす!」ブンッ

機械兵「……!」ブォン

上級魔族「ば、ばかやろう! こっちにくるな! うぁぁぁ!!」ガッ!

側近「縛 呪!」フィィィィ

上級魔族「う、動けねぇ!」ガチャガチャ

勇者妹「氷 地 龍!」アォォォォン

機械兵「……!」ゴリゴリ

火王「どいつもこいつも!」

土王「けけけ、準備はいいか?」

魔法使い「うん、土王さん!」

土王「混 沌 黒 穴!」

魔法使い「秩 序 白 穴!」

バギョッ! グギャッ! ゴガギィィィィ!

上級魔族「ば、化物どもめぇ!!」

火王「仕方ねぇ、俺が出る!」

魔王「そいつは、ちょっと待ってくんねぇかな?」

115: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 16:32:47.73 ID:81t13/MZ0
火王「なに!?」

戦士「女の子置いてなに戻ってきてんだよ! [ピーーー]!」

水王「死んでください」

土王「けけけ……[ピーーー]」

魔王「ひどい言われようだ……」

火王「この際、どうでもいいわ! 皆殺しにしてやる!」

勇者「はぁ……神 聖 光 撃!」パァァァ!!

機械兵「……!!」バキァャッ

上級魔族「がぁぁぁぁぁ!!」

僧侶「ほ、ほとんどの敵を一撃で殲滅した……」

科学王「あれが勇者の力というものですか……」チャッ

警官「チャッ、じゃないですよ? 銃はあなたの専売特許じゃねーんですよ」ゴリッ

科学王「ぬぅ、きさまは! 機械兵どもはどうした!?」

警官「それはもう、頼れる友人がね」チラッ

商人「片付けといたわ」グッ

科学王「ぐぬぬぬぅ!」

116: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 16:38:47.87 ID:81t13/MZ0
<創世主の間>

勇者「では、一撃だけ、受けてくれますか?」

創世主「ここは世界から隔離された場所。禁術は使えませんよ?」

勇者「いいえ、使えるんですよ。私が旅路において、出会った魂たちをね」

創世主「魂……まさか!!」

勇者「人なる魔王、魔族の勇者。私は今ここに、あなたたちへ誓おう」ヒュォォォ

創世主「やはり、勇者と魔王の魂!」

勇者「わが身全てと引き換えに、終わりなき運命に終焉をもたらさんことを!」コォォォォ!!

117: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 16:46:45.79 ID:81t13/MZ0
<海>
魔王「はぁ、悪いな、魔王。因縁の相手とっちまって」

火王「俺を殺せるつもりか?」

魔王「できるさ。勇者ってゆーのはな、絶対に、仲間を守り抜くやつのことを言うのさ」

火王「くそが! 煉 獄 炎!!」ゴォォォォォォォ!!

魔王「ちぃっ!」

僧侶「結 界 術!」

魔王「僧侶、サンキュー!」

火王「ひ、卑怯だぞ! 一人に対して大勢で!」

魔王妹「え~? それ、君が言うこと?」

上級魔族「」シーン

機械兵「」シーン

魔王「じゃあな」ザシュッ

火王「俺は! 俺……は……」ゴトッ

魔王「魔王、こっちは終わったぞ……必ず戻ってくるよな?」

119: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 16:52:01.43 ID:81t13/MZ0
<創世主の間>

創世主「美しい。全ての勇者と魔王の魂の集合体」

勇者「はぁ……はぁ……!」ガクガク

創世主「しかし、なぜ、あなたは死してまで、魔族を想うのです?」

勇者「そんなん……じゃ、ないさ。私は、魔王であり……」

勇者「そして、勇者だからだ!」ヒュッ

ザシュッ!

創世主「ふむ、右腕が切り落とされましたか」ボトッ

創世主「いいでしょう。あなたの案を採用しましょう」

創世主「そう、あなたは死と引き換えに、意志を貫き通した」

勇者「……」ドサッ

創世主「せめて、その亡骸はあなたの仲間へ返還しましょう」

120: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 17:04:34.12 ID:81t13/MZ0
<魔王の間>
商人「勇者さま……」

魔王「魔王。お前の仲間が待ってるぞ? なぁ、早く帰って来いよ」

 パァァァァァ

僧侶「なにか……来ます!」

武闘家「あれは……! 勇者さ……ま?」

勇者「……」

魔王「なにか様子が……」ツカツカツカ

魔王「これは……もう、息がねぇ……」

武闘家「そんな!」

商人「嘘でしょ、勇者さま? わかった! またいたずらして、私を困らせようとしてるんでしょ?」

僧侶「ねぇ、そうだって言ってよ!!」

僧侶「商人さん……」

勇者妹「……はぁ、ちょっとどいて」グィッ

商人「勇者妹ちゃん?」

勇者妹「禁術には、大きくわけて3つの継体がある」

武闘家「今はそんな話をするときじゃないっす!」

勇者妹「話は最後まで聞いて!」

武闘家「!」ビクッ

121: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 17:13:26.57 ID:81t13/MZ0
勇者妹「一つは、魂を結晶化した刃」

勇者妹「二つめは、自身の魂を分割するもの」

商人「まさか……あなたは……」グスッ

勇者妹「3つ目は、魂を、移し替えるもの」

僧侶「そんなことが……。でも、それじゃあ!」

勇者妹「そう、私の魂を本体に移し替える」

武闘家「それって、勇者妹さんが死んじゃうってことじゃ!?」

勇者妹「昔ね。お姉ちゃんが言ってたんだ。死んだ時に悲しんでくれる人がいるなら、魔族も人間もいい人生を送れてるんだって」

勇者妹「良かったね、お姉ちゃん。君は二回も泣いてもらえる」

勇者妹「そして、私も、みんなに泣いてもらえてよかった。そこの壁に隠れている警官にもね」

警官「……」ビクッ

勇者妹「じゃあ、いくよ?」

勇者妹「我、悠久の時をたゆたいし汝等に誓う。我の魂を汝等にささげる。その対価として、このものに再び命を与えよ!」スゥゥゥ

勇者妹「……」ドサッ

警官「勇者妹さん!」タッ

122: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 17:22:52.79 ID:81t13/MZ0
勇者「……」ムクッ

商人「勇者さま! でも……勇者妹ちゃんが」

勇者「……あ~、たちが悪いなぁ、我が妹」

警官「え?」グシッ

勇者「起きなさい」

勇者妹「あ、バレた?」ヒョイッ

武闘家「ど、どういうことっすか!?」

勇者「ええとね、禁術っていうのはね。生命を削る技で、あ~説明めんどい、パス」

勇者妹「あれだ。本体はあらかじめ禁術を使ってたから、容量が私を下回っていたんだよ」

勇者「だいたい、半分ってとこかな。だから、私が残り生きられるのは、矢尾族の寿命の四分の一」

勇者「ま、だいたい人間と同じくらいかな」

商人「へ、へ~? つまりあなたたちは……」

警官「さんざん私たちに心配かけさせて、その様子を見て楽しんでたってことですか?」

勇者「そ、それは妹が……」

勇者妹「いや、ちょっとしたおちゃめってやつで……」

商人「問答無用!」

警官「悪い子にはお仕置きです!」

勇者・勇者妹「ごめんなさぁ~い!」ダッ

僧侶「あ、あはは。また騒がしくなったね」

武闘家「でも、勇者さまが生きてて良かったっす!」

僧侶「うん。そうだね!」
 
123: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 17:26:22.64 ID:81t13/MZ0
 数年後

旅人「こうして、勇者と魔王の旅路は終わりを迎えたのです」パタン

魔族少年「なぁ、旅人さん! 俺も勇者になれるのか?」

人間少女「あ、じゃあ私魔王になる~」

旅人「なれるさ、どっちにでもね」

旅人「もう、魔族と人間を縛る運命は、なくなったんだから」

 

 完
 

 

勇者のくせになまいきだ:3D

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勇者のくせになまいきだ。1&2 ジャイアント・リサイタル

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